前回(第8回)は、塾の冬期講習をすすめられたときに、申込む前に親子で確かめる3つのこと(目的・内容と費用・優先順位)をお話ししました。
でも、確かめたあとも、迷いが残ることがあります。子どもとまだ話しきれていない。費用や日程を家族で相談したい。そんなとき、塾の人に「どうされますか?」と聞かれて、すぐに答えられず、困ってしまうことはありませんか。「保留したいと言ったら失礼かな」「子どもの機会を逃してしまうかも」と、気が重くなる方もいるかもしれません。
今回は、その場で決められないときの「保留」の伝え方を、編集部の例文でご紹介します。受ける・受けないを決める話ではなく、確かめてから決めるための時間をつくる方法です。
保留は「断る」ではなく、確かめる時間
保留は、申し込まないと決めることではありません。内容・費用・日程・条件を確認して、家族で話してから返事をするための時間です。
契約について、消費者教育ポータルに掲載されている、群馬県作成の若者向け教材は、契約は申込みと承諾の意思表示が合致した時点で成立し得ること、成立する前に内容を確認することが大切だと説明しています。申込む前に確かめる時間をとるのは、そのための一つの方法といえます。
①塾に伝える:資料を持ち帰る
塾の人への一言の例(編集部の一例です):
「案内ありがとうございます。内容と費用を家族で確認したいので、今日は申し込まず、資料を持ち帰ってもよいですか。○日までにお返事します。」
ポイントは、次の3つです。
- 今日は申し込まない、とはっきり伝える
- 資料を持ち帰りたい、とお願いする
- お返事の目安の日を伝える(○日は、家で話せる日を考えて決めます)
これは編集部の提案した会話例です。この言い方をすれば必ず待ってもらえる、というものではありません。塾や契約の内容によって、対応は異なります。
資料がもらえない、説明がよく分からないときは、無理にその場で決めず、契約の内容を確認しましょう。迷うときは、下の「困ったときは」の窓口も目安にしてください。
②子どもと話す:期待と気になる点を聞く
子どもへの一言の例(編集部の一例です):
「受ける・受けないを今決めなくて大丈夫。気になる点と、期待していることを一緒に整理して、○日までに考えよう。」
親が先に結論を出さず、子どもの期待(どこが分かるようになりたいか)と、気になる点(時間・疲れ・費用など)を聞いてみます。前回の3つの確認(目的・内容と費用・優先順位)のメモを見ながら話すと、整理しやすくなります。答えがすぐに出なくても大丈夫です。
③返事の日までに決める:選び方は一つではない
返事の日までに、家庭でどうするかを考えます。選び方は、一つではありません。
- 受ける
- 一部だけ受ける
- 今回は見送る
- もう少し確認したいことがあるので、塾に追加で聞く
どれが正解、というものではありません。本人の困りごと、費用、日程、家庭の予定に照らして、納得できる形を探します。
塾への返事の例(編集部の一例):
決めたこと
返事の例
受ける
「家族で話し合って、受講したいと思います。申込みの手続きを教えてください。」
一部だけ受ける
「この科目だけ受講したいのですが、可能でしょうか。」
見送る
「案内ありがとうございました。家族で話し合い、今回は見送ることにしました。」
追加で確認したい
「○○の点だけ、もう一度教えていただけますか。」
困ったときは
学習塾の一部の契約は、期間が2か月を超え、契約総額が5万円を超える場合などに、特定商取引法の規定が適用されると消費者庁が案内しています。ただし、冬期講習などの季節講習が必ず対象になるわけではなく、契約の実態によって異なります。「保留すれば必ず待ってもらえる」「どの契約でも取り消せる」とは言えません。
契約の内容で迷うときや、すでに契約して困っているときは、契約書面を確認したうえで、消費者庁の案内や、消費者ホットライン188(お住まいの地域の消費生活センターにつながります)など公式の窓口に相談してください。
3つをまとめると
- 伝える:今日は申し込まず、資料を持ち帰りたいと伝え、返事の目安を言う
- 話す:子どもの期待と気になる点を一緒に整理する
- 決める:返事の日までに、受ける・一部・見送り・追加確認から納得できる形を選ぶ
この例文で受講の要否が決まるわけではなく、教育効果や結果を保証するものでもありません。その場で決めずに、内容を確認して話し合う方法もある、という一つの選択肢として使ってください。
前回の第8回「冬期講習をすすめられたら?」もあわせてご覧ください。
https://note.com/kurashi_guide/n/n4a0f2bdfaf73
参考情報(確認日:2026-10-08)
消費者庁「特定継続的役務提供|特定商取引法ガイド」
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/continuousservices/消費者庁「特定継続的役務提供Q&A」
https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/continuousservices.html消費者教育ポータルに掲載の、群馬県作成の教材「若者向け消費者被害防止啓発動画『契約』ってなに?」
https://www.kportal.caa.go.jp/teaching-material/000497/
※ポータル掲載ページ上の著作権者は群馬県です。若者向けの教材のため、契約前に内容を確認するという基本情報としてのみ参照しています。消費者庁「消費者ホットライン188」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/hotline/?t=1644808036586
この3つの手順の図解は、Instagramでも公開しています。
本記事は一般的な情報と家庭で試せる工夫を整理したものです。個別の教育・心理・医療上の助言ではなく、効果を保証するものでもありません。困りごとが続く場合は、学校や専門機関にご相談ください。